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子どもの花粉症

子どもの花粉症

花粉症は、花粉が原因で鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす病気です。近年は発症時期の低年齢化が進み、幼児期に発症することも多くなってきています。特に春のスギ花粉や秋のブタクサ花粉による影響が多く、屋外での活動や自宅でも換気のタイミングで症状が引き起こされる傾向があります。花粉症の症状を軽減するためには、原因である花粉への暴露を回避することが最も重要です。花粉の多い時期は自宅の寒気を控える、服や布団などを外に干さない、花粉の多い日の外出を控える、外出時にはマスクやメガネを着用する、帰宅後はすぐに着替えや洗顔をする、といった対策が効果的です。治療は抗アレルギー薬の内服や点眼、ステロイドの点鼻薬などを使用して症状を和らげることで、花粉症をお持ちの場合には早めに対策を取ることが大切です。また、スギ花粉症については、スギ花粉を体に慣れさせることで、花粉症症状が強く出ない体質にする舌下免疫療法も広く行われています。

花粉はいつから?

花粉は種類や地域によりますが、一般的に春のスギ花粉は2月上旬ごろから飛散が始まります。ピークは2〜3月で、暖かい日が続くと飛散量が一気に増えることもあります。スギ花粉のあとにはヒノキ花粉の飛散が続くため、5月頃まで症状が続く方もいます。早めの対策が大切です。


子どもの花粉症の症状

  • くしゃみ(連続して出ることが多い)
  • 水っぽい鼻水が出る
  • 鼻づまり(口呼吸になることも)
  • 鼻すすり、鼻かみ
  • 鼻のかゆみを訴える
  • 目のかゆみ(頻繁にこする)
  • 目の充血
  • 涙が出やすくなる
  • 目やにが増える
  • のどのかゆみ
  • 耳の中のかゆみを訴える
  • 鼻声になる
  • 咳が出る(特に夜間)
  • のどの違和感や痛み
  • 皮膚のかゆみ(アトピー性皮膚炎が悪化することも)
  • 顔や目のまわりの皮膚が赤くなる
  • 眠りが浅くなる、夜中に目を覚ます
  • 日中の眠気
  • 集中力の低下
  • イライラしたり機嫌が悪くなる
  • 食欲が落ちる
  • 頭痛やだるさを訴える
  • においがわかりにくくなる(嗅覚低下)
  • 運動時に息苦しさを感じる(喘息を合併する場合も)

など

花粉症で熱は出る?

花粉症で高い熱が出ることは一般的にはありませんが、花粉による炎症反応で微熱程度(37℃台)になることはあります。ただし、38℃以上の高熱が出る場合は感染症など他の原因が考えられるため、早めに医療機関を受診しましょう。


花粉症の検査・診断

花粉症の検査・診断は、問診と診察に加え、アレルギーの原因を調べる検査を行います。一般的には、血液検査で特定の花粉に対するアレルギーの有無(IgE抗体)を調べたり、皮膚にアレルゲンを接触させて反応を見る皮膚テスト(プリックテスト)などが用いられます。当院では問診・診察に加え、必要な場合には血液検査を実施致します。


花粉症の治療

花粉症の治療の目的は、症状による不快感を軽減し、生活の質を向上させることです。治療方法には、薬物治療と生活改善(花粉への暴露の回避)、さらには舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)などがあり、症状や年齢に応じた適切な方法を選ぶことが重要です。

薬物治療

薬物治療は、花粉症の症状を緩和するため最も一般的に行われている治療です。用いられる主な薬は以下の通りです。

内服薬(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬)

くしゃみ、鼻水、かゆみ、鼻づまりなどを抑える薬です。特に抗ヒスタミン薬では眠気を心配される方も多いですが、眠気が少なく、日常生活への支障をきたさない、あるいは少ない薬が多くあります。医療機関で自身に合った薬を相談しましょう。以前はセレスタミン(抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤)が処方される場合がしばしばありました。症状が強い場合に一時的な使用に止める場合には使用は可能ですが、長期に継続使用される事例がまれではありませんでした。副作用の問題が大きいため、このような治療は避けるようにしましょう。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

喘息の治療薬でもありますが、鼻づまりなどの症状の緩和に有用で、抗ヒスタミン薬に加えて用いられます。眠気はなく副作用が少ないことも特徴です。

• 例:モンテルカスト(シングレア・キプレス)、プランルカスト(オノン)

※ただし、モンテルカストチュアブル錠にはアレルギー性鼻炎の保険適応はありません。

点鼻薬・点眼薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド)

鼻みず・鼻づまりや目のかゆみを直接改善するため、ステロイドの点鼻や抗ヒスタミン薬の点眼が使われます。点眼薬が苦手な方などは、近年発売された眼瞼クリーム(1日1回で有効)も有用です。また目の症状がひどい場合にはステロイド点眼薬を用いることもあります。

・点鼻薬:フルチカゾン(アラミスト)、モメタゾン(ナゾネックス)など

・点眼薬:エピナスチン(アレジオン点眼液、アレジオン眼瞼クリーム)など

生活改善

生活場面での対策は花粉症の重症化予防に欠かせません。

住環境の対策

室内への花粉の侵入や量を減らすため、花粉飛散日の換気を避ける、空気清浄機を使用する、洗濯物や布団を外に干さない、帰宅時には着替える、といった工夫をしましょう。

外出時の対策

花粉の暴露を減らすため、マスクやメガネを着用し、花粉の飛散が多い時期の外出をなるべく控える、など検討しましょう。

帰宅時の対策

帰宅後は服を着替え、手洗いや洗顔をしましょう。うがい・鼻うがいなども有効です。

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)

舌下免疫療法は、花粉症という体質自体を変える根本的な治療として注目されています。アレルゲンとなる花粉の成分を連日少量ずつ体に暴露させることで、徐々に花粉を異物として排除しようとするアレルギー反応の強さを弱めていく方法です。治療には注射や舌下錠があり、当院ではスギ花粉症に対する舌下免疫治療への対応が可能です。効果が現れるまでに数ヶ月以上かかることもありますが、長期的に症状を軽減する可能性がありますので、お子さんであれば小児期のうちに行っておくことをおすすめします。

舌下免疫療法
(アレルゲン免疫療法)

その他

漢方薬の使用や生活習慣の改善によって症状を緩和する方法もあります。個々の症状や反応に合わせた治療を選ぶことが大切です。特に症状が長期化・重症化した場合には、免疫療法を含む専門的な治療が必要になることがあります。治療方法について医師と相談しながら、最適な方法を見つけていきましょう。


花粉症の対策

子どもの花粉症対策には、まず花粉の多い時間帯(午前中)に外出を避け、外出時にはマスクやメガネを着用します。帰宅後は顔や手を洗い、花粉を家の中に持ち込まないようにしましょう。また、室内では空気清浄機を使い、換気を控えることが効果的です。さらに、花粉の飛散が多い時期に薬を服用し、症状が悪化しないように早めに対策を取ることが重要です。


花粉症でよくある質問

花粉症は何歳ごろから発症しますか?

花粉症は一般的に免疫が発達してくる3歳以降に多く見られ、特に小学校入学前後から症状が目立ち始めることが多いです。ただし近年では低年齢化しており、早いと2~3歳頃に発症することもあります。遺伝的な要因や環境によって発症年齢は異なり、乳児期にアトピー性皮膚炎や喘息がある場合は、花粉症のリスクも高まるとされています。

子どもの花粉症で受診の目安は何ですか?

目や鼻の症状が長引いてつらそうな場合、日常生活や睡眠に支障がある場合など、生活への影響がある場合には早めに受診をしましょう。花粉症症状や症状への不快感のみでなく、お子さんの成長発達に重要遊びや勉強、睡眠などへの影響は少なくありません。また、市販薬で改善しない、喘息やアトピーの合併がある場合にも早めの診察が必要です。

子どもの花粉症は小児科、耳鼻科どちらに相談すれば良いですか?

基本的にはどちらでも問題はありません。ただし薬物治療の効果が乏しい場合や頑固な中耳炎や副鼻腔炎などを合併する重症例など、特殊な検査や対応が必要となる場合などでは耳鼻科受診が必要となります。

花粉症の場合に問題となる食べ物はありますか?

花粉症と関係のある「花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)」と呼ばれる状態では、特定の果物や野菜で口のかゆみなどが出ることがあります。スギ花粉症の方はトマト、シラカバ花粉症の方はリンゴやモモ、メロンなどと関連が知られています。

食物アレルギー

点鼻薬は何歳から使用できますか?

点鼻薬の使用年齢は薬の種類によって異なりますが、一般的には2歳頃から使用できるものもあります。ただし、使用量や頻度に注意が必要で、自己判断での使用は避けるべきです。必ず医師の指導のもとで、年齢や症状に適した点鼻薬を処方してもらいましょう。副作用防止のため、正しい使い方を守ることも大切です。