- 子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)
- 子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)サイン(初期症状)
- 副鼻腔炎(蓄膿症)の検査・診断
- 副鼻腔炎(蓄膿症)の治療(治し方)
- 鼻をうまくかめない時の対処方法
- 子どもの副鼻腔炎でよくある質問
子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻腔の周りに位置し、鼻腔とつながっている副鼻腔という空洞内に炎症が起こり、そこに膿がたまる病気です。風邪やアレルギー性鼻炎などに引き続いて発症することが多く、鼻づまり、黄色く濁った鼻水、長引く咳、頭痛や顔の痛みなどの症状が見られます。通常、鼻水を出しやすくする薬などを使用して2-3週程度で自然に治りますが、症状が強い場合には抗菌薬を用いることもあります。慢性化することもあるため、鼻の症状が長引く場合には早めにご相談ください。
子どもの副鼻腔炎は
何歳から?
子どもの副鼻腔炎は、おおむね2歳ごろからしばしば見られるようになります。これは、副鼻腔の発達と関係しています。副鼻腔は生まれたときには未発達ですが、成長とともに徐々に広がっていきます。まず鼻の左右にある上顎洞(じょうがくどう)が2歳ごろから発達し始め、その後、おでこのあたりの前頭洞(ぜんとうどう)、さらに鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)などが順次成長します。副鼻腔が十分に広がると、風邪などで菌が入り込みやすくなることで副鼻腔炎を起こしやすくなります。特に幼児期は免疫力が未熟で、鼻腔も狭く詰まりやすく、鼻を噛んだりすることが難しい、といった要因があるため、鼻やのどの感染症から副鼻腔炎へ進展しやすい状態にあります。
子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)サイン(初期症状)
- 鼻づまり(片側または両側)
- 黄色や緑色の粘り気のある鼻水
- 鼻水が喉に流れ込む(後鼻漏)
- 口呼吸になる
- 鼻声になる(声がこもる)
- 咳(喉に垂れた膿性の鼻水によって、特に夜間や朝方に悪化しやすい)
- 微熱・発熱
- 顔の痛みや圧迫感(小さいお子さんでは言葉で表現できず、単に不機嫌なこともある)
- 頬や目の周りの腫れ・発赤
- 頭痛(額や目の奥が痛むことも)
- 食欲不振
- 眠りが浅くなる、夜中に目を覚ます
- 不機嫌になる、機嫌が悪い
- 匂いを感じにくくなる(嗅覚低下)
- 息が臭う(口臭)
- 体がだるそうに見える
- 耳の痛みや耳閉感(耳に圧迫感を感じる)
- 泣き声やしゃべり声がくぐもる感じになる
- 目やにが増える(副鼻腔から炎症が波及する場合)
など
副鼻腔炎で
咳が止まらない?
副鼻腔炎が原因で咳が止まらないことはよくあります。副鼻腔にたまった膿や鼻水が喉へ流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」が刺激となり、咳が出続けます。よく寝ている時には咳反射が抑えられますが、夜寝入り際や朝方など睡眠が浅くなる時に咳が強くなり、時に咳とともに嘔吐することもあります。ひどくなると日中にもコンコンと咳が続くようになります。風邪を引いて咳や鼻が長引く場合には、副鼻腔炎の状態を考えておく必要があり、医師の評価とともに、適切な治療を行っていく必要があります。
副鼻腔炎で歯が痛い?
副鼻腔炎が原因で歯の痛みを感じることがあります。特に上側の奥歯の近くにある「上顎洞(じょうがくどう)」に炎症が起きると、周囲の神経が刺激され、歯が痛むように感じることがあります。虫歯がないのに歯の痛みが続く場合、副鼻腔炎によるものかもしれません。歯科で異常がない場合には、副鼻腔炎の治療が必要な場合がありますので、お気軽にご相談ください。
副鼻腔炎(蓄膿症)の
検査・診断
問診と診察によって診断します。症状の経過、鼻水の色や量、喉の所見(後鼻漏の有無)、咳の性質や胸の呼吸音、顔の圧痛など確認し、必要に応じて鼻腔内の視診も行い総合的に判断します。他疾患との鑑別や症状が重度で頑固な場合など、より詳しい検査が必要な場合には、より高次の医療機関への紹介いたします。
副鼻腔炎(蓄膿症)の治療(治し方)
お子さんの副鼻腔炎に対しては、内服薬や点鼻薬による治療を行います。鼻水を出しやすくしたり減らしたりする去痰薬や抗アレルギー薬、必要な場合には抗菌薬を併用することがあります。また、鼻水を吸引したり、ステロイドの点鼻薬を使って鼻や喉の通りを改善させることが有用です。適切な治療によって通常は数週間以内に改善します。
副鼻腔炎は(大人にも)
うつる?
副鼻腔炎そのものが他人に直接うつることはありません。ただし、副鼻腔炎の原因となった風邪(ウイルス感染)はうつる可能性があります。ウイルス感染が別の人にうつってその人が風邪をひいた結果、副鼻腔炎を発症することはありえます。家族間など濃厚な接触機会が多い場合には、手洗いやマスク、咳エチケットなど徹底して、感染を広げないように注意しましょう。
鼻をうまくかめない時の
対処方法
小さなお子さんは鼻をうまくかめないことが多いので、練習が大切です。まず、口を閉じた状態で、片方の鼻を軽く押さえ、反対側の鼻からやさしく息を出す練習をしましょう。勢いよくかもうとすると耳に負担がかかるため、力を入れすぎないことがポイントです。また、鼻水が固まっているときは、ぬるま湯で鼻を湿らせたり、鼻吸い器を使って無理なく取り除くことも有効です。楽しく声かけをしながら、少しずつ慣れさせていきましょう。
鼻汁吸引
鼻汁吸引は、鼻が詰まっている子どもを楽にしてあげるためのセルフケア方法です。市販の鼻吸い器(手動式や電動式)を使って、鼻水を優しく吸い取ります。強く吸いすぎると粘膜を傷つけることがあるため、無理のない範囲で行うことが大切です。うまく吸引できないこともよくありますので、そのような場合にはしばらく待ってみたり、吸引前に鼻を保温したり、加湿したり、生理食塩水を噴霧(ベビーミストなど)したりすると鼻水がやわらかくなり取れやすくなることがあります。
鼻うがい
副鼻腔炎に対して温めた生理食塩水による鼻うがいは有効です。鼻の中の膿や鼻水、細菌を洗い流し、炎症を和らげる効果が期待できます。ただし、正しい方法で行わないと耳に水が入るなどのリスクがあるため、市販されている専用の洗浄液や器具を用い、使用法に従って行いましょう。
子どもの副鼻腔炎で
よくある質問
子どもの副鼻腔炎は抗生剤が必要ですか?
副鼻腔炎の多くはウイルス性であり抗生剤は不要です。しかし、細菌感染が疑われ長引く場合には抗生剤が必要になることがあります。特に、風邪が治りかけたのに発熱が長引いたり再度出てくる場合や、濃い黄色〜緑色の鼻水、咳が長引く場合などでは細菌性の可能性がありますので、医師の判断で抗生剤を処方することがあります。抗生剤が必要な場合には、投与量や投与期間など医学的判断が必要ですので、自己判断での使用は避け、必ず医師に相談しましょう。
子どもの副鼻腔炎はどれくらいで治りますか?
軽い副鼻腔炎であれば1週間ほどで自然に治ることもありますが、細菌感染による副鼻腔炎では、治療に1〜2週間程度かかるのが一般的です。症状が長引いたり再発を繰り返す場合は慢性化の可能性あるため、早めに受診することが大切です。
子どもが副鼻腔炎になるとどんなにおいがしますか?
副鼻腔炎になると、鼻や口から「すっぱいにおい」「生臭いにおい」など、普段と異なる不快なにおいがすることがあります。膿がたまることで細菌が繁殖し、悪臭の原因になります。
子どもの副鼻腔炎が治ってきたサインは何ですか?
症状が軽減してきたら、回復のサインです。具体的には、鼻づまりが軽くなる、鼻水の色が透明に近づく、咳が減ってくる、夜眠れるようになるなどが挙げられます。小さいお子さんでは機嫌が良くなったり、食欲が戻るのも回復の目安です。ただし、よくなってきたからと言ってお薬を勝手にやめてしまうとぶり返すことも少なくありません。病状の確認や治療の終了については医師に確認するようにしましょう
子どもの副鼻腔炎で溜まった膿はどうやって出せばいいですか?
鼻の中に溜まった膿を出すには、投薬以外にも鼻をしっかりかむことや、鼻汁吸引、鼻うがい、加湿等が有効です。自宅では、こまめに鼻水をかませることは大切ですが、小さいお子さんで難しい場合は、吸引器を使って鼻を吸引するのがよいでしょう。難しい場合はクリニックでも適宜吸引が可能ですので、お気軽にご相談ください。